第6話本居型捜査手法

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突然本居は立ち上がって真壁の方に言った 「真壁、もうサインに応じる事はないぞ お前は一般人だ」 「しかし」 「わからないのか お前がアイドルを抜けられないのは、お前のどこかに元アイドルが特別な物だと思ってる気持ちがあるからだ いいか刑事にとって、それは大変危険な考え方だ それは犯罪者は一生更正出来ないと言う考え方に繋がるからだ もしお前が本当の刑事になりたいなら今すぐそのサインペンから手を離せ」 真壁はサインペンをファンに返した ファン達はブツブツ言った 本居は言った 「もう、こいつが辞めて何年経ってると思ってるんだ いつまで死んだ子の年を数えれば気が済む こいつはその為に警察で何年も干されて来たんだ 今回のチャンスはこいつにとってやって巡って来た陽の当たる場所に出れるチャンスなんだよ 頼むからほっておいてやってくれ」 ファン達が言った 「マッキー警察官になったんだ」 「かっこいいマッキー」 「頑張って私達を守って」 人々は一斉に拍手した。 真壁は言った 「ありがとうございます 頑張ります」 それからしばらく道を歩く真壁は大変機嫌が良さそうに顔を紅潮させていた。 「いや~ファンってやっぱりいいですね 護られてるって気がします」 「何を暢気な事を お前をちやほやするのは、まだお前が若くて格好いいからだろ、三十回って落ち目になってから引退してみろ 街であったって無視されるだけだ ちやほやされるのは後数年だ ここらへんで性根をきめてアイドル時代とは決別しろ」 「あの~さっきから初対面の人間をお前お前って とんねるずやダウンタウンだって、そこまで傲慢じゃないですよ」 「気に入らんか 気にいらんなら、遠慮しないで臍曲がり署に帰れ、会計や庶務やってアイドル幻想にとらわれながら あー口喧嘩しているうちについちまった 入るんだな」 「その話は後でしましょう とにかく捜査です」 「生意気なガキが」 「生意気で悪かったですね」 二人はそっぽを向き合うようにして芸能プロダクションのビルに入った エントランスの奥に受け付けのカウンターがあった 若く美しい女子社員が座っていた
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