第6話本居型捜査手法

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出会いですよね しかしご両親によると彼女は小学校五年生から登校拒否となり、以降部屋に引きこもり杉並の家の外には一歩も出なかったそうです それが何で札幌であなたに出会えるんですか ご両親が嘘を言ってるとでも」 草苅は冷や汗をかき始めた 「いや、それはその マッキー何とか言ってくれ」 真壁は助け舟を出そうとした 「警部補あのですね」 「真壁、お前はどっち側の人間だ」 「どっち側って」 「トランスポーターのマッキーなのか? それとも真壁巡査部長なのか 昔の知り合いを庇うつもりなら、お前を捜査に加える意味はない、臍曲がり署に戻れ」 真壁は黙りこくった それを見て草苅は少し開き直った 「おっしゃる通りです刑事さん そう言われてしまえば返す言葉はありません しかしこう言ったエピソードも、我々芸能界においては演出でしてね 確かに公表してるような出会いが彼女との出会いではありえません それが捜査している方を混乱させているなら大変申し訳ない事だと思います」 「草苅さん、我々はあなたがタレントのスカウトをどんなに美化しようと問題にしません 我々が知りたいのは真実です あなたがどういう経緯で赤城遼子と言う少女を知りスカウトに至ったのか 道を歩いてたら窓から彼女の顔が見えたのですか」 「いや、その、噂で美しい少女がいると」 「アイドルを選ぶ時に、そのキャラクターは大事でしょう いくら美少女でも引きこもり少女に大衆を魅了する魅力がありますか あなたの行動は不自然ですね」 「いや、それは、おっしゃる事は最もなんですが スターと言うのは必ずしも健康優良児とは限らなくてですね 精神を病んでいる子もスターの要素を持っているので」 「ではあなたの回答を持って再びご両親に聞き込みますが矛盾は起きませんね」 「刑事さん、あなたは何でこの問題についてひつこく追求するんですか 文春や新潮だってここまでひつこくない 事件には関係ない話でしょう」 「それはこちらが決めます 赤城遼子さんの人間関係を徹底して潰すには彼女の過去をどうしても明らかにする必要がある しかしご両親は赤城遼子さんは引きこもりをしていたと言う あなたは引きこもり少女をアイドルにスカウトしたと言う もしそれが真実でなければ我々は赤城遼子さんの五年を超える間の人間関係を見落とす事になる
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