失踪

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捜査本部が設立された しかし極秘の捜査本部設立で記者会見はなかった 東京都千代田区霞ヶ関にある警視庁本庁 北に大きな河川を控え 桜田通りの横並びに総務省、向かえに検察庁 まるで羊羹を切って立てたような横長のビルである その正門に一台の乗用車が到着する 覆面パトカーである その後部座席から一人の身体の大きい男が現れ大きく背伸びを一つする。 開口一番男は言った 「ここも変わらねえな 全くよう」 乗用車の運転席から若い男が言う 「本居係長殿、では自分はこれで失礼いたします」 「お、ご苦労様 帰りは電車で帰るから」 「いえ、また迎えに参ります」 「すまないね」 本居は悪びれもしなかった 「では」 若い警察官は敬礼した。 本居も敬礼した。 車は走り去り本居は正面出入り口に歩き出した 本居巌 年齢五十歳 しかし年よりかなり老けて見える 現在は所轄の刑事課の係長の地位にある 階級は警部補 かつてはこの警視庁に勤めていた。さてその容貌はミステリードラマに出て来る容姿端麗や渋いナイスミドルと言うわけには行かない がっちりしたと言うより少し小太りの体型 カツラ疑惑のある薄い髪の毛 広い額 小鼻の張った大きな鼻 薄い唇 細くて眼光鋭い目 太くて短い首 三枚目キャラとは言えないがせいぜい時代劇の山賊の頭か丁髷をゆったら相撲の親方か悪代官と言った風貌である ちなみに彼はこの小説の準主役だからご安心願いたい。 本居は出入り口に立ち番している警察官と敬礼を交わして庁舎の中に入って行った 本居が中に入ると私服が立ち番に近づき話しかけた 「ありゃ本居さんじゃないか」 若い立ち番は言った 「えっあれが有名な五課にいたシャブのモトスエですか」 警視庁刑事部組織犯罪対策五課 都の麻薬覚醒剤の取締りの本拠地である 「それは昔の話し 今のあだ名は相棒殺しのモトスエだ。」 「相棒殺し?」 「あの人とコンビを組んだ刑事はつぶされて警察をやめていくらしい 出し抜く騙す、囮に
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