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二十坪はあるオフィス
近代的な機器が各机に設置され、壁一面には複数のモニターがレッスン場を監視するように動いている
机は各ブロックごとに別れていてあわただしい電話のやりとりが行われている
部屋の隅々に資料のような物が山積になっている
ノックの音がして本居が入って来た
事務所のスタッフ達は部外者の闖入に眉をひそめたり、怪訝そうに見る物もいたが忙しいらしく咎める者はいなかった
それをいいことに本居は部屋の中を見渡して一人の女性に目を止め、そっちへ歩き出した
「おじょーおーさん~」
その女性は、お茶菓子を運んで来た事務員だった
事務員は驚いた様子で言った
「刑事さん、何か御用ですか」
「あなた事務員さんですか」
「はい、そうですけど何か」
「あなた本当に事務員さんですか」
「はい、この事務所に事務で雇われてますが」
「いや、本当に事務員さん、これは驚いた」
「あの~何なんですか刑事さん」
「いやごめんなさい
つまんない事なんですが、私の相棒の若い警察官なんですけどね
あれは元名の知れた芸能人だったんですよ」
「マッキーですよね」
「なんだか知りませんけどね
生意気の奴でいちいち逆らうんですよ
さっきもね
私はあなたを見て、こんな美人だからタレントに違いないって言うのに、あいつが事務員だって言うのよ
しかしあなたをタレントにしないなんて草苅暁の目も節穴だね」
一方真壁は昔のよしみもあり、何とか草苅を釘付けにしていた
草苅が言った
「なんか、俺の悪口を誰かが言ってるような気がするんだが」
「俺の悪口も誰かに言われてるような
ところで赤井英和さんはお笑いタレントなんですか」
「本人も驚いてるようだが、いつの間にか、そう言うカテゴリーらしい
もちろん俳優でもある」
「石田純一さんが俳優なのに」
「あの人もタレントと言う肩書きもある
まあ死んだ森繁久彌さんが喜劇俳優と言う肩書きもあるから、本人も気にしてないし」
「森泉ってモデル、女優だけどドラマほとんど出てないですね」
「そんなのいくらでもいるよ
エビちゃんももえちゃんもほとんどドラマ仕事してないのに女優だぞ
女優ってワンランク上って感じがするからな」
再び事務所に戻る
本居のおだてもなかなか通用しなくて、本居
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