誰7話 誰がための捜査

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「チャンスを与えてやる あの女を口説け」 「あの女って」 「俺が話していたミス飛騨の里だ あの女、芸能活動再開したがってるから芸能界にコネを持ってるお前になら、警戒は緩いはずだ 上手く乗せて情報を取れ お互い独身の若い男女だから深い関係になっても構わない」 真壁が強く聞き返した 「今なんて言いました?」 「やっちゃえって言ったんだ もちろんレイブじゃないぞ」 真壁は急ブレーキをかけた 本居は頭をぶつけそうになった 「何するんだお前」 真壁は本居を胸ぐらをつかんだ 「やっちゃえだと 俺は極道になったんじゃない 恥を知れ 麻薬の神様が聞いて呆れる こんなに底の浅い人間だったのか」 本居は胸ぐらを疲れたまま笑い出した 「離せよ、合格だ」 「えっ?」 真壁は思わず手を離した 本居は服を整えると言った 「だせよ、迷惑だろ」 「あっああ」 真壁は車を出した 本居は言った 「お前外務省機密漏洩事件て知ってるか」 「ああ、聞いた事あります ドラマになりましたよね」 「佐藤内閣の時佐藤総理は沖縄にかんする費用をアメリカに出させると表向き発表しながら本当は日本が肩代わりをする密約をしたらしい 当時毎日新聞の記者がそれをすっぱ抜いた しかし問題はそのやり方だった 亭主持ち外務省の女役人をたらしこんで関係を作って、弱みに漬け込んで情報を吐き出させた それにより佐藤総理が、汚い手口さえ使って沖縄返還を成し遂げた事がわかった 一見すると権力の横暴を明らかにした反権力的偉業をしたとも言える しかしそのために女役人は犯罪者の烙印を押されてしまう 俺はこれでは意味がないと思う 大の虫を生かすため小の虫を殺す 綺麗事だ 人間はそんなに割り切れない お前が俺の言った通り女を落とすと言ったら、俺はお前を相棒とは認めなかった」 「じゃあ相棒と認めてくれるんですか」 「相棒とまでは行かんな 後はお前の努力次第」 「あの~、お前って言うのだけ止めてくれませんか 俺もいい年なんで」 「刑事の呼称はな 実力で取れ 俺の補佐が出来ると認めればお前とは呼ばん」 「なんて呼ぶんですか」 「お前さんだ 対等に仕事が出来るようになれば君になる 俺より使えると思えばあなたと呼んでやる」 「君でいいですよ」 「俺と対等になれると思ってるのか
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