誰7話 誰がための捜査

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随分前の自分である 都内にある廃屋のような工場の前に車をつける名高である 緊張した顔でドアを開ける名高 入るとすぐ周り階段がある その階段を駆け下りて行く名高であるが冷や汗のような物が顔に伝わっているのがわかる 降りてすぐのドアの前に立つ名高だがそのドアの前でしばらく立ち止まる やっと手をドアに伸ばすが全身が震えている ドアのノブに伸びた手は引っ込められ、また伸びてノブをつかんで引く、ドアがゆっくり開く、ドアの中の何かを見た名高は顔が真っ青になり、そのまま崩れてしまう その時眠りを覚まさせる 『先生、そんな所で寝てしまうと風邪をひかれますよ』 目が覚めると馴染みのウェイトレスが立っている 名高は目をこすりながら言った 「いや、これはご無礼を 五十を回ると人間眠気に勝てなくなると聞くが、全く面目ない」 ウェイトレスは名高の頬を触って言った 「先生汗びっしょり あれ、先生涙のあとが 離婚した奥さんや娘さんの事でも夢に出て来ました?」 名高は腕時計を見ると言った 「あっもうこんな時間だ 次の講義の準備をしなければ 起こしてくれてありがとうございます じゃあ失礼します」名高はそそくさとテラスを出た 一方ここは四谷雑居ビルの中にある創総出版アンビリーバブル編集部である さほど広くも狭くもないフロアにかなりのデスクが置いてあり、返品や納品の書籍がうずたかくつまれている ボヘミア店で名高と会話した記者玉井が忙しそうにカップヌードルを書き込んでいる 編集長の田村が声をかける 「玉ちゃん、随分忙しそうにしてるな なんかネタを拾ったのかい」 「あっ編集長 栃木県で未確認飛行物体が着陸したらしい跡があると言う情報がありまして、とりあえず行きます 電話で結果を報告します」 「ところでボヘミア展のミイラ見て来た?」 「見て来ました 意外な人物が来てました 東都大学の名高教授です」 「意外ではないだろ 先週衛星でクリストファーリーヴのバチカンの嵐の時解説者で面白い話をしてくれたな」 「クリストファーリーヴは、バチカンの嵐に出る時脅迫されたそうですね それ以降も脅迫が続き、パートナーとも上手く行かなくなった キリスト教の最大のスキャンダルを映画化の主役ですからね」 「話したのか」
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