誰7話 誰がための捜査

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「ええ」 」 「ミイラについて何か言ってたか」 「それがミイラを見た時、聖痕の断罪とか呟いてて」 編集長の顔色が変わった 「聖痕の断罪 確かにそう言ったんだな」 「なんですか聖痕の断罪って」 「キリスト教のタブーの一つで 話をするのも忌み嫌われている 忌み話だから良く知らないが古代からヨーロッパにある呪いの方法らしい どのような方法なのかもわからない ただ普通の呪いの常識を越える効果があって、禁断の呪法と言われているらしい」 「常識を越える? 強力って事ですか」 「それはわからない ただ、一つの詩が残っている その詩は 汝の知らざる事を嘆くべからず 因果は巡りて 数多の星指し示すところゼウスの怒り必ずや雷鳴が轟き その時主は人々に道を示して下さるだろう 邪悪なる物の墓標の上に アーメン」 「良く覚えましたね」 「一時期、必死に、この詩の謎を解こうと頭を絞った」 「解けたんですか」 「さっぱり、第一これは原文を俺が訳したわけじゃないからな 原文はゲルマン人のゴート人が使ったと言われるゴート文字の石板だから、とても手に負えないゴート文字は暗号文字とも言われているし」 「じゃあだれかが訳したんですか 「昭和初期の神学者で文部省の顧問もやってた貴族院議員名高聖浄って司教だ」 「まさか名高司教は?」 「東都大学名高教授の曾祖父だ」 「じゃあ名高一族は、名高司教から聖痕の断罪の呪いがどういう物か伝えられてる可能性もある」 「さあどうかな ゴート文字の訳文は作れても解釈まで行ったかどうか その訳文も正しいかどうか 何しろゴート文字は暗号文字とまで言われているからな」 その時休憩室から一人の社員が血相変えて飛び出して来た 「テレビでとんでもない事をやってます」 編集長は聞いた 「なんだ」 「飛び降り自殺しようとしてるんです」 「しかしそれは、我々のフィールドじゃないだろ」 社員は苛立って言った 「しかし自殺しようとしてる男はカナック(キリスト教法服)を着てるんです 明らかに司祭です」 「自殺を絶対に禁じているキリスト教の司祭が派手な飛び降り自殺をしようとしてるだと」 ここは都内の某ビルの上である ビルの柵の外に一人の初老の司祭が立って下を見下ろしている 警官隊がその真下と屋上で司祭に説得を試みている
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