聖女へ

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んでしょうね 部屋に閉じ込めて家庭教師を雇ったようです」 元家庭教師の証言 「はい、当時大学で紹介されて短い期間赤城遼子さんの家庭教師をやりました 登校拒否だと言う理由でしたが、そうではない事はすぐわかりました 問題のない子を何故御両親が閉じ込めているのか最初わかりませんでしたが御近所の方と話すようになってから察するようになりました そうですね 私の見た所では問題行動はありませんでしたが、ただ神秘学のような事に興味を示す傾向は顕著でした それに変わった質問をされて返答に困った事もあります その質問ですか 神と悪魔はどうちがうのかと 知り合いの神父に聞いたら 彼女の生年月日を逆にたずねられました」 真壁がたどたどしい捜査をしている間本居は強引な方法で謎の一端を引きずり出そうとしていた。 本居は早速日本カトリック修道教会札幌教区総本部である教会を訪問した その目的は赤城遼子と草苅暁はどのように知り合ったかを明らかにするためだ 突然の訪問で教区長である司教(教区と呼ばれるエリアで司祭を束ねる責任者)に会える事はなく代わりにベテランの副教区長である司祭が捜査に対応してくれた いきなり身分証明書を出し捜査への協力を要請する本居に対し六十近い副教区長は面食らったがさすがに聖職者であり寛容な態度で捜査協力を約束してくれた。 しかしカトリック内の事情についてのガードは思いのほか固かった。 本居は容赦なく本題に入った 「この札幌教区のカトリックの教会でネストリウス派の影響の強い教会はどれほどあるのでしょうか」 「刑事さん、この現代に、この日本で邪教や異端などと言う言葉が通用しないと言う事は我々も知らないわけではありませんが、バチカンが宗派と認めない者達を、その手前我々日本カトリック信徒が認めるわけには参りません、その辺の事情をご理解下さい」 「ファーザー、我々警視庁は宗派の問題を批判しようとしているわけではありません、単なる事件解決となる情報提供をお願いしたいんです」 「お気持ちはわかりますが我々日本カトリック信徒は立場が強くなく、バチカンの顔色はいつも気にかけていなければなりません やはり現代でもネストリウス派の話はタブーなのです あーそろそろ司祭達と教論をする時間が お役に立てなくて誠に申し訳ない あなたに神の御加護があらんことを」 本居はタバコを
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