聖女へ

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「オウム事件ですね」 「さすがですね オウムの様々な事件により、新興宗教や宗教コミューンはすべて警察や公安調査庁の監視を受ける事になりカルト宗教の疑いを向けられてしまった 密かに背後関係を持つ宗教コミューンは、捜査でいろいろ暴かれる事を恐れて撤退して行ったのです」 「オウム事件と言えば1990年代頃から、麻原逮捕からアレフ継承まで、赤城遼子の空白機関とかなりリンクする」 「赤城遼子、失踪した女優の赤城遼子さんの事ですか」 「失言でした 捜査情報を漏らしてしまいました 忘れて下さい」 「失言したんですか 反応を見ようとわざと言ったんじゃ」 「いや、しかし何かご存知のような顔付きです」 「知っています しかしあなたにスキャンダルで脅されても、もう協力は出来ません あまりにもタブーにはまり込んでしまう」 本居は副教区長の顔に怯えと拒絶をはっきり感じた 「(ここら辺が潮時か)わかりました、協力ありがとうございます)」 部屋を出て行こうとする本居の耳元に副教区長は囁いた 「釧路に、かつて聖女の里と呼ばれていたコミューンがありました その廃屋を調べてご覧なさい 何か手がかりが見つかるかもしれません」 「釧路ですか(また、金と時間がかかるな)」 それと同時期に警察病院の検視室から三人の男が出てきた 一人は白衣二人は私服である 白衣の男が言った 「どう見られますか?」 私服の一人刑事が言った 「先生、確かに痣は確認出来ました それが何か」 「痣のある場所です あの場所はキリストがゴルゴダで貼りつけられた時付けられた傷 特に胸の傷は槍の傷です 人に現れた場合聖痕と言って神聖視されます」 もう一人の刑事が言った 「偶然と言う事はないんでしょうか」 「すべてキリストと同じ場所です、打撲ではない痣です 有り得ない」 前の刑事が言った 「では死んだ神父はキリストの再来ですか」 「そんな事は言ってない 偶然には有り得ないと言ってますが医学的にはありえます」 刑事が言った 「医学的に」 「自己暗示です、極めて信仰心の強い感受性の強い信者や司祭にたまに聖痕のような痣が現れる事があります あんなに全て出た人は珍しいでしょうが」 最初の刑事が聞いた 「しかし、それが何らかの事件との関わりあいがあるんですか
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