聖女へ

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名高はかなり狼狽した 「これはその」 「先生、車に乗って下さい あっ鍵をお預かりしましょう こんな山道で駐禁もないでしょうが 道の真ん中では邪魔になりますから」 週刊アクセスの記者は名高から取ったキーを仲間に渡して後部座席のドアを開けた 「さあ、見晴らしのいい旅館か何かで軽い食事でもしながらお話しをいたしましょう」 名高は嫌々ながら後部座席に乗り込もうとした。 その時だった 大きなエンジン音と共に近くの茂みが揺れると一台のオートバイが飛び出して来た オートバイは目だし帽を被った男に操られていた。 そのオートバイは飛び上がるとアクセスの記者の仲間の車のルーフを飛び石のように渡って名高達の所へ飛び込んだ。 アクセス記者は叫んだ 「何だお前」 目だし帽は言った 「先生後ろに乗って」 「君は一体」 アクセスの記者は叫んだ 「そのバイクを捕まえろ、覆面をはいでやれ」 「そうは行くか」 バイクは旋回して記者達を威嚇した 「早く乗って」 名高は記者の仲間を突き放しバイクに跨がった バイクは車の間をすり抜けて猛スピードで山道を走った しかしアクセスの記者達は執拗に追って来た バイクはうっかり行き止まりの方に走ってしまった その先は直角に近い崖だった 名高は言った 「万事休すか」 「先生しっかり捕まってて下さい」 「ちょっと待て早まるな」 名高の制止も無視してバイクは崖を落ちるように降りていった 「助けてくれ~」 名高は思わず目をつぶった。 バイクは垂直に近い崖を見事に滑走して平地に着地した。 崖の上ではボー全と記者達が見ていた。 上で声がした 『何やってるんだ、どこか降り口を探すんだ』 『無理です、ここをショートカットされたら十分で国道にでます、こっちは国道まで三十分かかるんですよ』 バイクはその間にドンドン先へ進んだ 名高は目を瞑ったままだった 目だし帽が言った 「先生、もう大丈夫ですよ」 「頼む、止めてくれ」 バイクは止まった 名高はふらふらと腰が抜けたように降りて尻餅をつきハーハーと荒い息をした。 「大丈夫ですか先生」 「立たしてくれ」 目だし帽は名高に手を差し伸べた 名高は手に捕まると巨大を起こしてバイクに背中を寄りかかるように立ち上がった 目だし帽は言った 「すいません荒っぽかったですね」
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