聖女へ

16/35
前へ
/336ページ
次へ
電話相手が言った 「始末はつけた後腐れがないようにね」 女性は言った 「グランドファーザーには私の方から言っておきます」 「しかし本当に大丈夫か マザーエリカ 失礼、今は実業家神藤エリカだったな 遼子が絡んでるとすれば」 「あの子はあの頃はまだ子供だった 何も知らないはずよ」 「そうならいいが 何しろ、あんたが後継者にしようとした女だ、甘く見てると命取りになるぞ 子供のいないあんたが母心が芽生えても構わないが、グランドファーザーに逆らえば、あんただって破滅だぞ」 「わかってるわよ」 本居はタクシーで札幌に向かっていた。 そこへ入谷から電話が掛かって来た 本居は言った 「すまん今話してる余裕はない 後で報告する」 「それどころか赤城遼子失踪事件は打ち切りになるかもしれない」 「圧力か」 「テレビ局に電話があったそうだ 赤城本人から、今日夜のニュース番組に声だけで出演するらしい 赤城遼子失踪事件はこれで終了だ すぐ東京に戻って来い」 「ダメだ」 「ダメ?どうゆう事だ」 「情報をくれた司祭が殺されたようだ 確認するまで時間をくれ」 「なんだって、わかった、なるべく早く戻って来い 極秘に捜査本部を設立に知られると警視庁は批判に晒される 刑事部長は一刻も早く解散して捜査員たちを通常任務に戻すつもりだ 対応出来ないと罰を下されるぞ」 「わかったよ」 本居はケータイを切ると言った 「赤城の野郎一体何を考えてるんだ」 一方ここは警視庁総務部広報課である 広聴係が蒼い顔をして課長に耳打ちした それを聞いた途端広報課長の顔が青ざめた 「どこから漏れたんだ」 「わかりません ネタを掴んでいたメディアが赤城会見に向けて隠し玉と使って来た可能性があります 対応を誤ると奴らの餌にされてしまいます 広報課長は興奮して言った 「すぐ部長に電話を いや部長の所に行って来る」 広報課長は駆け出した 報告を聞いた部長は頭を抱えた 「赤城の捜査本部の事が漏れただと あれほど箝口令を敷いたのに」 「どーしましょうか 広報としては、あくまで捜査本部ではないと突っぱねましょうか」 「いや、捜査員が動いていた事はメディアもすぐ掴んでしまい対応を誤るとすっぱ抜かれる
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加