聖女へ

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は草苅と直接交渉して金か何かの要求を行っている しかし草苅も反社会的組織とのトラブルを世間に知られたくないため、その交渉を表沙汰に出来ない」 「そう考えれば赤城遼子の失踪後何の要求もないのも納得出来ます」 「じゃあ、謎のメッセージは」 「それは草苅が捜査が自分に向かないように偽装したととれば」 「じゃあ今回の電話も、その連中がやってると言うのか 何のために 事情を知ってる草苅を脅迫したいなら意味をなさないだろう」 「こう考えられないでしょうか 赤城を拉致した草苅の脅迫者達は何かのトラブルで赤城遼子を殺害してしまったんでしょう、それを草苅に疑われて、生きてると偽装するため」 「おかしいよ、草苅が拉致されてる事を知ってるなら、草苅の脅迫者が赤城 の生存を偽装するなら、草苅に直接証拠を見せればいい こんな派手な偽装は意味がない それに事情を知ってる草苅にとっては自由にテレビ局に電話して来る赤城遼子はありえないはずだ かえって生存を疑うだろう」 ADが口を挟んだ 「でもそれは警察が考えればいいんじゃないでしょうか 視聴者は我々に完璧な謎解きをのぞんでいません」 ディレクターは反論した 「バラエティーやワイドショーなら、それでいいだろう しかしニュースショーの視聴者は合理性を求めて、報道を常に監視して冷静だ」 テレビ局員の一人が言った 「チーフ、世帯視聴率、許容範囲内に収まりません これでは次の編成の時問題になります」 サブDやAD達が言った 「チーフ決断して下さい 赤城遼子ではないとキャスターに発言させましょう」 「二十パーセントは赤城かもしれないんだぞ しくじったら赤城遼子に失礼になるだろう」 サブのDが言った 「事件性があるかもしれないんですよ 見てみぬふりをするつもりですか」 ディレクターは少し考えた挙げ句素早く指示書を書き上げプロンプターの装置の端末機にセットした。 キャスターをそれを見て一瞬言葉を失った。 しかし努めて平静を装い言った 「遼子さん、誠に失礼ですが、あなたの会話に、ファンから指摘がありまして、声紋鑑定をいたしました所 その疑問は前よりも大きくなりました 数値では八十パーセント以上の確率で 今話してるあなたは赤城遼子とはあかの他人です」 視聴者の衝撃は凄まじかった
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