聖女へ

24/35
前へ
/336ページ
次へ
運転手は言った 「いつもはこんな渋滞しないんですが」 その時官房長(警察庁各局を束ねる局長より上位の官僚)の腹心瀧川総務課長から電話がかかって来た 「瀧川です、局長殿お疲れの所申し訳ありませんが至急本庁にお戻り下さい」 「警視総監は臨席するのですか」 「はい関東管区局長もいらっしゃいます」 「今日は徹夜になりそうだな はい、すぐ戻ります」 大郡は苦い顔で電話を切って言った 「こうなる前に召集して欲しかったが 最も俺も人の事を言えた筋合いじゃないが」 大郡は渋滞を見た後最後に丸の内線の入り口に目を止めた。 一方スタジオとサブでは赤城涼子と名乗る者との対応に様々な思惑が飛び交い始めていた。 サブではディレクターがADに聞いた 「電話はまだ繋がってるんだな」 「はい、無言のままですが電話は切れておりません」 『偽物なら電話を続けるメリットはない これではまるで自分が偽物だと印象ずけてるようだ』 「数字はどうだ?」 「穏やかですが上がり続けておりますが心配です キャスターにリアクションの指示を出しますか」 「それには及ばない 俺より先に相手の意図を読み取った古館さんだ 任せて構わない フリートークの許可を出しておけ それよりプロデューサーに頼んでプライムタイム一杯まで枠を延長出来るよう上と交渉させてくれ」 「わかりました 行って来ます」 一方スタジオのキャスターは赤城涼子を名乗る者に番組が振り回されてる事に不満を持っていた。 しかし赤城涼子を名乗る者に電話を切られてしまう可能性を考えはれ物を触るように対応していた。 しかしそこはベテランキャスターだ キャスターは一つの賭けに出た キャスターは言った 「こうしても時間ばかりたちますね 一度スポーツコーナーにバトンタッチしましょう 宮崎キャンプに行ってる佐藤レポーター出られますか」 いきなり段取り無視のキャスターの行動にサブの中は騒然となった FDが泣きそうな顔で言った 「チーフ、勝手にMCが勝手に入り中(中継を入れる事)を言っちゃいました」 「言われた通りにしろ ただし三十秒後だ サブD、つながりが消えないように煽りテロップを入れろ」 ディレクターが狼狽して言った 「何て書けばいいんですか」 「自分で考えろ 伊達に東大行ったわけじゃないだろ」
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加