聖女へ

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「わかりました」 スタジオではキャスターがしきりに中継入りを打診していたが、これにはある意図があった 「中継つながりませんね レポーターの佐藤さんスタンバってないのかな」 中継に使う素材は生中継にそのまま流す事は放送事故(BAブロードキャストアクシデント)につながる危険性があるため撮って出しやVTRを使う場合がある(すぐ中継がつながらない理由の一つだ) キャスターはそれを知りながらわざと煽る、これは視聴者にいかにも生中継であると印象ずけるための場合がある。 「佐藤レポーター、中継まだつながらないんですか」 キャスターは煽りながらもスタジオのキューランプ(行動の始まり、変化を示すライト)がつくとサブの方に嫌そうな顔を一瞬見せた チーフディレクターはそれを見て言った 「入中まてキューランプ消せ」 キャスターはキューランプが消えても顔色一つ変えず言った 「混線ですか宮崎テレビどうなってるのか」 サブではクルーが叫んだ 「宮崎テレビから抗議です、あっちに原因があるようなコメントは止めて欲しいと」 「切れ、あとで説明する」 そして遂に赤城涼子を名乗る人物が発言した。 「待って下さい いくつか質問にお答えします」 赤城涼子を名乗る人物の意図はわからないがキャスターの機転が人物の挑発に成功したのである 一方ネットでは、様々な憶測が飛び交い、無数のチャットが発生した。 ネットを沸かせるには最高の素材だったのだ 一方ライバル局もこの会見をネタの番組を取り入れおこぼれを預かろうとした。 この行動のため視聴率の上昇は止まった サブディレクターは言った 「チャットに夢中になってテレビ離れしたようですね ハイエナ(他局)が餌の横取りを始めました ディレクターは言った 「謎の人物の意図に我々は利用されている しかし我々も今更引けない なんとしてもこのチャンスに数字を上げなきゃ」 クルーの一人が言った 「発言いいでしょうか」 「ああいいよ」 「今テレフォンブーストには視聴者からかなり電話が届いてるようですが」 「そのようだな」 「それをアットランダムにそのままオンエアしたらどうでしょうか」 「生電話か、それも段取りなしの」 サブのディレクターが言った 「ダメです放送事故と勘違いされます それに段取りなしじゃ放送コードに触れる発言をする者も出ます
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