聖女へ

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精神状態は正常ではない、まさにブロードキャストハイと言えるような一般人からは考えられない異常な興奮状態の中にいるのである スタジオにいきなりオペレーターとのやり取りがオンエアされた時段取りなしの状態にキャスターを含めて混乱を隠せなかった。 最初に流れたのはオペレーターと視聴者の、普通のやり取りだったが消しピーが入った それはオペレーターが『Nテレビテレフォンオペレーターの何々』と自分の名前を言ってしまったからだ オペレーターに段取りせずオンエアしたため電話相手だけに名乗る個人名が全国放送に乗りそうになった いち早く消しピーを入れたため災難は免れた 次に流れた生電話は赤城涼子の大ファンの男性からの訴えだった 『警察に通報してるのか あんたらこの状況がわかってるのか そいつが拉致してるかもしれないんだ 逆探知しろよ』 いきなり核心に触れる発言にスタジオは騒然となった さすがのベテランキャスターもしばらく無言だった しかしアンカーとも呼ばれるキャスターは番組そのものを取り仕切らなければならない キャスターはきっかけを見つけ流れを自分の方に引っ張ろうと鋭い目をして見守った 番組自体としてはムチャクチャだった サブの中ではスポンサー、上層部、様々なクレイマーにクルー達は平謝りで対応していたがディレクターは電話にも応じなかった マスターで止める方法があるが上はそれを躊躇した。 その間サブの予測数字はどんどん上がって行く おそらくビデオリサーチのオンラインメーターにも同じ状況が記録されてるはずである スタジオに流れる生電話はオンエアを嫌って総数は減ったが、残った電話はよりヒステリックで感情的な物になった 『早く警察を動かせ』 『涼子は殺されてるんじゃないか』 『キャー涼子さんを助けて』 『何やってんだバカ野郎』 それをここ霞ヶ関では警察庁の官僚達が見ていた。 長官が言った 「もういいだろう」 会議室の吊り下げテレビが切られた 次原官房長が言った 「国民のほとんどは逆探知の認識は戦後レベルですな 今はケータイの時代だから逆探知に意味はない 固定電波ならあとからでも追跡出来るがケータイだとそうは行かない 発信電話がわかっても盗んだ物なら意味はない 場所の特定も不完全だし、移動されれば役に立たない
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