聖女へ

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つまり盗難ケータイ電話を使われたら、まずお手上げだ もっとも一度発信電話が分かれば大体の位置特定は追跡出来るが立体は位置特定出来ないから高層ビルから掛けられたらビルを封鎖しなきゃならなくなる どうやら電話の相手はかなり知能が高いようだ」 長官が言った 「官房長は電話の目的をどう考える」 「電話の相手が何者かはわかりませんが、電話を切らない所を見ると、テレビ放送を利用しているようです、しかし単なる愉快犯としては手が込みすぎてる」 「刑事局長、この電話の相手は赤城涼子を拉致したと見るべきか」 「私には、この相手は偽物である事を強調しているように見えます」 「つまり偽物ではない、本物の赤城涼子の可能性があるんだね、後ろにいる事を含めて」 「はい」 「その意図は?」 「わかりません」 「ここにいる皆は赤城涼子がこの問題について、いわゆる加害者的立場と思っているだろうが、問題は簡単ではない、国民のほとんどの反応は、赤城涼子が被害者的立場にあると見ているからだ 赤城涼子加害者的立場説を取る警察組織は赤城涼子の意図を見抜けない限り国民の圧力に抗するべきではないだろ そして我々には名誉挽回のチャンスでもある 我々は国民の要望に応えると言う形で赤城涼子失踪事件を刑事事件として全警察組織を上げて捜査に踏み切る 今回問題は失踪者赤城に何から何まで仕組まれたかもしれないが最善の策として今は踊らされなければならない 表向きは赤城を事件の被害者として扱い、その実は赤城が何らかの行動を阻止、または行動があった場合逮捕を含めて対応する事を今から協議したい。 私としては指定事件(特別に広域で捜査する必要を認められた凶悪な重要事件)の準指定を検討してもらいたいのだが警視総監、あなたの意見はどうだろうか 警視庁が同意してくれれば助かるのだが」 横に座っている総監が言った 「お言葉を返すようですが長官、それはいかがな物でしょうか まず事件その物が起きておりません 警視庁が準指定に同意し、警視庁を中心に特別捜査本部を設立させ、その総捜査本部長に警視庁の幹部がつきますと、後に何らかの事件が発生した場合、それが警視庁の管内でない場合、主に捜査を執行する県警本部と中央捜査本部となる警視庁の間で指揮系統の統一が難しくなります」 長官は言った 「確かに正論だ しかしこの問題を
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