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「」
「上の方針は二段がまえなんだ
何もなければそれでよし、何かあればすぐ対応出来るように
ストーカーの場合も考えられるし
万が一、これが本当の拉致事件で赤城が殺されたとしても、警察としては全力を尽くしたと言う言い訳が出来るようにパフォーマンスをしてるんだ」
「そこまでやるか?
何故?」
「いろいろ事情があってな
とにかくとりあえず動かないわけには行かないんだよ
警視庁としても」
「適当に動きゃいいんだな」
「テレビ雑誌にリークするだけのネタは欲しい」
「ネタを流して引き時を見るってわけだ
わかった、ただし条件がある
これが本当の営利誘拐や拉致事件だったら俺にやらせろ
いいな」
「わかった
じゃあルーキーの事も頼むぞ」
本居は電話を切った
そして自分の部屋に向かった。
本居の部屋は和室の6畳ほどの広さだった
壁には賞状が貼ってあった
その賞状は警視庁剣道大会優勝、それ以外は署長賞、刑事部長賞などであった
洋服ダンスの上には制帽が乗っていた。
窓の方には小さな仏壇があった
本居は電気をつけて入ると出入り口の左側にある事務机のパソコンを起動させ、胸からカードを出してセットした。
やがて一枚の写真がモニターに現れた
それは洒落た洋風のリビングの中央に置かれた車椅子だった
それを見ながら本居は呟いた
「入谷よう、こりゃ案外どえらいヤマに繋がってるかもしれねえぜ」
本居は持って来たビールを口に含み音を立てて飲みこんだ。
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