第9話本居の賭け

6/16
前へ
/336ページ
次へ
アナウンスが終わった途端機首に当たる飛行機の全部が鎌首を上げるように角度を上に向けて行った 旅客機にはあり得てはならない急上昇である 中は一度に阿鼻叫喚の修羅場になった 今井が叫んだ 「どうしたんですか先生」 「わからない、ここはどこだ」 「確かキルギス上空だと」 誰かが叫んだ 『ミグだ、ミグがこっちに向かって来る』 それからしばらくして機内は正常に戻った アナウンスが流れた 「お客様には大変迷惑をかけております 危険は去りました 安全ベルトを解除して下さい 機長より説明がございます」 やがてヨーロッパ人の機長がやって来た 「ご迷惑をおかけしております 機長です 責任者として事情を説明させていただきます 先ほど探知機が警告をならしましたのでとうきは緊急マニュアルに従い危険地域からの緊急離脱を行いました」 乗客の一人が言った 「ミグが突っ込んで来た理由を説明してくれ」 「その点につきましては現在調査中でお答え出来ません」 他の乗客が怒った 「ふざけるな プーチンの謀略かもしれないじゃないか 説明しないなら緊急着陸しろ」 他の乗客達も賛同した。 機長は言った 「予想が入りますがお答えします ロシア空軍管制官から謝罪の通信がありました 警戒飛行中のミグが制御不能となり大きく航路を外したようです あとは想像ですがこの空域は例年と比べられないほど雷雨にみまわれておりましたため磁場に異常が発生したものと推測出来ます」 誰かが叫んだ 「ミグでも狂うのに、この飛行機は大丈夫なのか」 「当機は極めて高性能な制御システムを」 機内照明が突然暗くなった 飛行機が振動した。 「わー」 機長はコックピットの方に戻って行った 今井は言った 「どうなるんでしょう我々は」 名高は蒼い顔をして頭を抱えていた。 「これは呪いの持つ拒絶反応だ」 「拒絶反応?」 「呪いはその本体に近づく者を拒絶する性質がある」 「呪いの本体って」 「呪いの起源、もしくは最も原初的呪いの事実、つまりの呪いの謎 我々は呪いに認知されてしまったようだ これから先何が起こるのか 我々は呪いの拒絶反応の渦の中に今入ってしまった もうもどれない 行き着くところまで行くまでは」
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加