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あなたを左遷した警備局審議官次原が官房長になってしまったのだ
人事の実権を握るのは官房長
あなたはこの北海道警に飛ばされてしまった。」
本部長は立ち上がって机の方に戻り壁の猟銃を取り上げた
「私の家は代々松前藩の鉄砲方だった
維新の版籍奉還、廃藩置県で家禄を失った先祖は薩摩に従う事を潔しとせず役人にはならなく、マタギになった
随分オヤジ(羆)を仕留めて名を馳せたらしい
その子孫の私が役人になって生活している
時々思うんだが先祖は快く思ってないたろうなと
しかし先祖の気持ちに逆らってまで役人になったなら、頂点にまで行きたい
そんな気持ちは私の中に、まだ残り火を残っている」
本部長は猟銃を手の前で回した
本居は言った
「私はある事件を追って北海道へ来ました
その捜査の途中で聞き込みをした相手を何者かに殺害されました
するとまるで待ってたように私を重要参考人扱いの挙げ句、刑事課ではなく監察に捜査を預けて私の身柄を確保しようと動いております
こんな事が出来るのは官房長ぐらいでしょう
それに北海道で起きた宗教絡みの事件の隠蔽にも動いた形跡があります」
「つまり君も官房長と対立している立場だと言う事か」
「官房長に敵対したいわけではないんですが、これからも私の捜査の邪魔をしてくる可能性があります」
「それで官房長に私怨を持つ私と手を組むつもりなのか」
「ご推察下さい」
本部長は笑い始めた
「はははは、この首藤照哉もなめられたもんだな
たかだか私怨で判断を過つ人間と見込まれたわけだ」
本部長は銃口を本居に向けた
「とこで嗅ぎつけて来たかしらないが現実はそんなドラマのようには行かないよ
見逃してやろうかと思ったが監察官に引き渡す
そのまま重要参考人として警視庁に帰れ」
本居は動じなかった
「見逃してやるつもりだったと言うのなら私を確保した事をまだ警視庁には連絡してないと言う事ですね
何故すぐ報告しないんですか
それは私の話次第と言う腹積もりがあったからじゃないですか」
本居は万年筆を出しスイッチを押した
『見逃してやろうかと思ったが監察官に引き渡す』
「失言でしたね本部長殿」
「貴様~はははは
」
本部長は自分の小型レコーダを作動させた
部屋に入ってからの会話が始まった
本部長は言った
「わざと言ったんだよ」
「何故
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