第9話本居の賭け

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」 「君が私を快く思わない人間つまり次原のスパイでない保証はない、いい気になって軽々しく話に乗れば北海道にもいられなくなるからね」 「では試験はパスですか」 「そうだな、君が次原のスパイならかくしどりをそのまま次原に渡すだろうから私を脅迫する必要はない しかし協力するかどうかは条件次第だ 何だUBSメモリーの中は」 「地方の本部は大変ですよね 大きな事件になれば届け出をして警察庁や警視庁の協力を求めなければならない」 「それはまあ、動員力がないんで単独では出来ない事件もある」 「何しろ警視庁には四万の動員力がありますから、気前よく専従捜査官を派遣してくれるでしょう しかし問題はその専従捜査官が手柄をすべて持って行ってしまう事だ 彼らが帰った後にはペンペン草も残らない つまり管轄の所轄は言うに及ばず道警その物が言ってみれば警察庁や警視庁の引き立て役、踏み台、問題が起きれば責任を取らされるのは所轄の署長や捜査員」 「わかっている、しかし情報がないんだ 奴らこっちのネタは奪うくせに、自分達の掴んだネタは絶対共有しない 文句を言いたくても警視庁と合同捜査なら指揮権は向こうだ 警察組織法でそうなってる 奴らがネタを下ろしてくれりゃ、うちの連中だって手柄を立てられるのに」 「応援と言う名目で少し専従捜査官を寄越して合同捜査ですからね 納得出来るもんじゃないですよね」 「そんな事より、そのメモリーの中身を」 「だからそのネタですよ」 「なっ何」 「警視庁の組織犯罪対策五課の極秘データベースですそれ」 「なに、だって君は」 「所轄の職員です しかし考えて下さいよ あれほど麻取りと問題起こした私が免職もされずに本庁から さほど離れてない所轄で仕事してるんですよ」 「つまり君はまだ五課なのか」 「まあそこまでは しかし頼りにされてるのは事実ですよ ネタ屋なんて連中は誰にでも情報を流しませんからね ましてヤクとなれば命懸けだ 私以外には情報を流さないなんてネタ屋はいくらでもいるんで 困った時には猫なで声で協力を頼んで来ますよ、かつての部下の今の課長 当然データベースのアクセスは出来ます」
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