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「この学園は見ての通り、外部と内部をきっちりと遮断しています。学生達も教員も土日祝日は家に帰ることを許されますが、そうでない日については特別な理由が無い限り学園を出ないという決まりになっています」
「あれ? それじゃあなんで君は、さっき外に居たんだ? 火土ヶ谷駅のホームで僕を見かけたとも言ってたけど……」
秀一の質問に、梨亜は僅かに表情を歪める。
「……特別な理由、ですよ。ここに用はありませんので先へ行きましょう。」
話題を逸らすようにスタスタと先へ行ってしまう梨亜を、秀一が慌てて追いかける。
その足を止めぬまま、梨亜が何かを思いついたように口を開いた。
「あ、そうそう。校舎に行く前に大事な場所を案内しなければならないのでした」
「大事な場所……?」
「はい。――兎小屋です」
「……兎小屋?」
全く意味の分からない梨亜の言葉に、秀一は思わず首を傾げるのだった。
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