第二話

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「まあ、それは一理あるが……どうしてお前はそんなにドライなんだ? 学友が亡くなったならもっと……」 「だって、人は死ぬもの」 秀一の言葉に、輪廻は間髪いれずに答えた。 「人間なんてさ、結局は死ぬわけじゃん。例えば、たまたま転んだだけでも打ち所が悪ければ死んじゃうしさ、ちょっとした油断ですぐに命を落としちゃうのが人間じゃん? 今回みたいにイーターが現れてもそうだしさ」 そう言って、輪廻が自嘲的な笑みを浮かべる。 「だから私は、いちいち悲しむのを止めたの。一度きりの人生なんだから、そんな刹那的な生き方もアリじゃない?」 輪廻が得意気に語るその言葉は、秀一にとっては余りにも若すぎて苦笑いの対象にしかならなかった。 しかし、こんな風に思わなければやってられないほどに、ここでは死が身近なのだと考えれば、輪廻に同情の念も湧いてくる。 先の話から察するに、輪廻も力を持っているのだろう。 この年で命がけの戦いを強いられる少女の心中など、秀一には理解できようはずがなかった。 「先生だってそうだよ。ちょっと油断してたら直ぐに死んじゃうかも知れないんだから。例えば……」 不意に、輪廻がニイッと口角を吊り上げて、ピストルの形に組んだ右手の人差し指を、秀一の顔に向ける。 何事かと眉をひそめる秀一に、輪廻は底抜けに明るい声で大きく叫んだ。 「――ばぁんっ!」 「なっ……!?」 瞬間、輪廻の指から熱を孕んだ光球が放たれ、秀一の頬を掠める。 あまりのことに、秀一は腰を抜かしてへたり込んだ。
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