第三話

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*** 死に直結する汚染に関する極秘資料:2 *** 『DJシンジのJポップアワー! 今夜もクールなナンバーをお届けするぜ!』 毎週木曜の深夜に放送されていたそのラジオ番組は、若者から大きな支持を受けている人気番組だった。 その日もいつものように軽快なトークで幕を開いたその番組だが、一部のリスナーは既に異変に気づいていたという。 『まずは……グチャ……ハガキを紹介するぜ……』 パーソナリティの声のバックから、謎の異音が聞こえていたのだ。 始めは耳の良いリスナーしか気付かなかったその音は、時間が経つにつれて、目立つようになってくる。 『ラジオネーム……アイさん……ゴキッ……からの……』 まるで何かをへし折るような、はたまた何かを押し潰すような、そんな不気味な異音はひたすらに鳴り響く。 何人かのリスナーはラジオ局に電話をかけてみたが、誰も電話には出なかったという。 異音は更にその響きを増し、パーソナリティの声すらもかき消さんばかりに、その存在感をあらわしはじめる。 そして、誰もが耳を疑うその声は、パーソナリティ自身の口から放たれた。 『イー……バリ……ボリ……ターは……た、助けてくれっ!! みんな……みんなたべられ……!! 誰か……誰……グチャッ!!  ゴギッ!! ……う……にゅ……う……』 その声を最後に、そこからは何も聞こえなくなった。 後の警察の発表では、そのラジオ局の人間が全員消息不明になったとだけ伝えられた。 そのラジオ局の中では一体何が起きていたのかは、結局公表されることは無かった。 突入した警官はみんな気が狂って自殺したなど、噂が流れたりもしたが、真相は未だに闇の中である。
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