1.第一章

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「ぶわっっ!!」 ミツが開いた瞬間、誰かが勢い余って突っ込んで来た。そのまま、後ろから追い掛けて来た乱暴な男も巻き込み、ミツを含めた3人が床に倒れた。 「イッテェ……」 最初に呻いたのは、一番下に居た乱暴な男。その上にミツ、更にその上に入って来た者という順番。 「うわ!!」 一番上に居た者が、突然飛び上がるようにミツから離れる。その反応は間違って居ない。入って来た者は、ミツの胸に顔を埋めて居たのだから。 「ごごごごっ、ごめんなさい!大丈夫!?」 もう、どうでも良くなって来た。否、限界だったのだ。フラれ群がられ噛み付かれ、暴言を吐かれ吊るされたかと思えば落ちて、疲労も思考も限界だったのだ。 「ちょ、死んだ!?」 「死んでねぇ、気ぃ失ってるだけだ」 暗闇の中、雨音と男達の声が響く。気絶してしまったミツについて話して居るが、当の本人がこんな状態ではと、男達は小屋の中に入って暖を取る事にした。 此処に居る男達は互いに初対面であり、この日が初めての顔合わせである。一様に、男達は相手を探るような言葉を掛け合った。 「おい、てめぇから名乗れ」 乱暴な男が指示したのは、勢い余って突っ込んで来た男。否、男と呼ぶには、彼は非常に若かった。 「ぼ、僕は」 その幼い声からも姿からもそうだが、まだ15か16の少年である。 「僕は、屑地(くずち)家の者です。えっと、葉っぱの葉と書いてヨウというのが名前です」 「若過ぎへん?」 「す、すみません。他の人はみんなご老体でっ」 「そんな良い加減やけど大丈夫なんやろ?ちゃんと修行とかしてんねやろ?」 「い、一応……」 「そう言うてめぇはどうなんだ?」 先程から質問を繰り返す男に、乱暴な男が質問する。 「俺はバッチリやで。アッチの方まで自信たっぷりや」 「その髪、目、てめぇが毅土(きづち)か」 「そういうアンタかて、その髪と目ぇの色、草薙(くさなぎ)んとこのボンボンやな?」 睨み合う2人。間に挟まれた屑地少年はこっそり2人の間から抜け出し、部屋の奥に寝かされたミツの側に行く。
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