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「お前を救出したらここを潰せとの命だ」
そう言いながら青年の縄をピアノ線で切っていく。ランタンの右腕にはピアノ線が巻き付いているのか、よく見れば痕がある。目を凝らしても気づくか気づかないかだが。
「ありがとうございまーす! ランタンさんはこのまま行きます?」
緊張感の全くない声が響く中、ランタンは至って冷静だった。
「そのつもりだ。では行ってくる。……この建物がいつ倒壊するか知らないからな、ロード」
ロード、青年の名であろうそれは、微かな信頼が含まれていた。
ロードに背を向けて敵を捜索しに行ったランタン、その背中をロードが見ることは無かったが、言わなくてもわかっているとでも言いたげにわらっていた。
「さてとっ……ランタンさんからの許可も出たし、丁度敵さんも戻ってきたようで」
ランタンが出て行った扉の向こうから複数の足音が聞こえる。
あーあ、運がよかったんじゃないの?ランタンさんに会わなくて。
「てめえ! 何で動けている!?」
「お前ちゃんと捕縛したって言ってただろ!」
「したに決まってるだろ! 爆弾騒ぎの方に行ってたらこれだよ!」
「はぁ!? 部屋に誰も残さなかったのかよ! 信じらんねぇ……」
部屋に着いた途端、最初にいた男と其奴と同じくらいの地位の男達が喚く。総勢6人。
「ねぇ、そろそろいい? いいよね? さぁ、お片づけの時間だ!!!!!」
ロードの顔は至極楽しそうだった。ただ、
無邪気な表情の中で唯一ライトグリーンの双眸が冷え切っていた。
その頃1人の男が動いていた。誰もいない暗い路地裏にひっそりと。
「……何個仕掛けたっけ、爆破のタイミングはいつだっけ」
黄色の左目が隠れた髪に、赤い眼。気怠げな雰囲気を纏うそれは、何かを企んでいるようだった。
「面倒くせぇ……もう爆破しちまおうか」
なにやら物騒な単語を先程から連呼しているが、右耳にはイヤホン、左手には端末を持っている。端末にはよくわからない数式や文字が羅列しており、手慣れたように操作している。
「折角人がランタンさんを上手く潜入させたのに、アイツ……まぁいい、どうせ爆破する。無傷なんてのはあの人くらいだろ」
嘲笑を浮かべる男の口から出てきたのは、どこかのマフィアの拠点にいる男の名前だった。
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