24人が本棚に入れています
本棚に追加
「っランタンさん!あの!俺……!」
いつも助けに来てくれる幹部は、ロードにとって兄のような存在。だが、自分が足を引っ張っているのではと考えてから、どこか後ろめたさがあった。それでも、こうして助けに来てくれることが答えなのだとロードは思うのだ。
「本当…世話がやける」
自分の肩に回したロードの腕をしっかり固定し、負担がかからないように、しかし素早く部屋を出ていく。建物から脱出が完了した瞬間崩れ落ちた建物を見たロードは、顔を真っ青にした。
2回爆発し、轟々と燃え盛る建物を見てほくそ笑む左目の隠れた男。先程端末をいじり、ランタンの名を呼んでいたことから、爆発を起こしたのはこの男だろうか。
「ククッ…死ななくてよかったなぁ、ロード?まぁ、俺はランタンさんにちゃんと言ったし、それが仕事だしな」
そもそも死ぬなんてあり得ねぇんだけど、と呟きながら踵を返す。
「さぁ、一足先に帰るかぁ」
曲がり角を曲がった次の瞬間、そこに居たのはただの青年だった。
「はぁぁぁぁぁ……助かりましたぁぁぁぁぁ……ありがとうございますランタンさん!!!」
「お前は本当死にかけるな…。今回もエンヴィーの機転があったからよかったものの」
ランタンの言葉を聞いてエンヴィーへの怒りがこみ上げてくる。
「そうだよエビのやつ!!あいつ2回目の爆発やけにデカかったっスよね!!殺す気かよ!!!」
「いや…あそこで2回目の大爆発が起きなければこうも完璧に脱出出来なかっただろうしな。エンヴィーに礼を言っておけよ、俺が見つからず入れたのはあいつのおかげだ」
爆破した建物から少し離れた、瓦礫が落ちている場所でロード達は休んでいた。予告も何もない2回目の大爆発。あれを完璧エンヴィーの悪趣味な悪戯か、もしくはめんどくさくなって適当にやったかのどちらかだと思っていたロードは、ランタンからエンヴィーの機転だと聞き目を見張った。
……飲みにでも誘うか
そう思いながら腰を上げる。
「サァ帰りましょー、 もう俺クタクタですよ~。首領にも報告しなきゃなぁ……」
人目を避け並んで歩く2人は満身創痍。そんな姿は目立つだろう。けれども、いやに違和感無く溶け込んでいた。
彼らの拠点は何処か、国はわかれども詳細は当人達しか知らず。なかなかに力のあるマフィアである。
最初のコメントを投稿しよう!