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面白いなんて、言われたのは久しぶりだった。
「…や、別に思ったままを言っただけなんで。」
「なんていうのかな、こう…言い方とか言い回しとかツボなんですよ。」
未だに笑いながら言っているけど、俺にはその笑いのツボはわからない。
わかるわかるーとあまちゃんは伊月さんと盛り上がる。
…面白いって、よく立花も言ってくれていた。
「お前面白いのな。なんか俺そういう考え方好き。」
満面の笑みでそういわれて、人前で顔が真っ赤になってないかだけが心配だった。
友達としてということは勿論わかっているが、好きな相手に好きという言葉を言われると反応に困る。
「ね、行こうよ?・・・・って聞いてた?久遠!」
あまちゃんの少し大きめな声と二人の視線ではっとした。
「あ…ごめん。ぼーっとしてた。」
「だからこれから3人でごはん行こうって話してたの。チーフは今日は忙しいみたいだし。」
チラッと伊月さんを見る。
なんかあんまり伊月さんとはプライベートな付き合いはしたくないんだよなぁ…。
「ほら、同じ年だしさ。仕事はじまったばかりだから、情報交換なんかも兼ねて。」
あまちゃんは来るわよね?といわんばかりの目の圧力が…俺が行きたくないのわかってるくせに…。
「わ…わかった。」
「「おつかれーーー。」」
来たのは居酒屋だけどアジアンテイストな店内で少しムーディーな感じだ。
まず一人では来ないだろう。
ガッツリメニューもあって、お酒の種類も豊富とのことで伊月さんが案内してくれた。
「あまちゃん、飲みすぎ注意。俺送んないからね。」
じとっとあまちゃんを見ると
「分かってるわよ。ちょっとこの後予定あるしー。」
少し照れたような表情をしていてピンときた。
「え、彼氏?」
「そ。半年くらいかな?一緒に住んでんのよ。向こうも今日飲み会だから終わったら連絡するって。だから飲みすぎませんー。」
え…この間チーフ送っていったときは大丈夫だったんだろうか。
このやり取りを見ていた伊月さんが
「二人って本当に仲がいいですね。学生の頃からでしたっけ?どんな学生生活だったんですか?」
なんてことを言うもんだから…
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