第一章

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差別や偏見はどうしたってなくならない。 それなら自分を偽って世の中に馴染むか異端者としてはじかれてしまうかどちらかだろう。 <creazione>と書かれた建物に入る。 「おはようございます。」 「・・・おはようございます。」 中から女性が出てきた。 年齢は自分と同じくらいだろうか、落ち着いた雰囲気ででも清潔感があって異性でも好感がもてるタイプだ。 「お、早いね。来てくれてありがたいよ。 もう一人来るんだよ。来たら自己紹介でもしよう。」 チーフの桐野江 仁(きりのえ じん)年齢は33歳くらいだったと思う。 もともと大手チェーンの眼鏡屋さんの支店長をしていて、独立して自分の店を1年前から開いている。 確かに人懐っこそうな笑顔に少し明るめのブラウンの髪、おしゃれに着崩したスーツは自分の見せ方を知っていて接客業に向いていると思う。 最近はお客さんも増えてきて、桐野江さんとたぶんさっきの女性2人で対応していたがスタッフを増やすことにしたらしい。 「おはようございます。」 低い声が響き、誰かが入ってきた。 もう一人の新入社員だろうか。 俺の前を横切る。 174ある俺がそいつの肩くらいの身長で思わず見上げてしまった。 …その瞬間、至近距離で、眼があった。 なんだろう… 少し相手の目が驚いたように開いた気がした。 嫌な予感がした。 「じゃ、まずは俺から紹介するね。 俺はチーフの桐野江です。でこっちが主に事務関係してくれている雨宮 志保(あまみや しほ)さん。君たちと同じ26歳だから。 わからないことがあったら俺か雨宮さんに聞いて。 で新人の久遠 紫葉(くおん しば)くん。2年眼科で検査技師として勤務していたからお客さんで処方箋持っていない人なんかは久遠君にまかせて大丈夫だから。 こっちは立花 伊月 志摩(いづき しま)君。彼は2年間営業で働いていて実力もトップクラスだから。2人ともよろしく。」 「…よろしくお願いします。」 確かに185はあるであろう背も高く、切れ長の目で鼻も高いし髪も短髪でワックスで整えていて、格好いいという言葉が似合う出で立ちだ。 彼がこちらで接客するとなると女性客が増えそうだな…と考えていた時だった。 「あの。」 声をかけてきたのは、 「あ、伊月さん…でしたよね。なにか?」 「……。」 じっと見下ろされている視線が痛い。
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