第一章

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「久遠さん、こちらの織田さんフレームのデザイン決まったので検査お願いできますか?」 「あ、はい。こちらへどうぞ。」 20代くらいの女性で眼鏡の作り替えで来店されたようだが…どうみても伊月さん目当てでしょ。 検査しながらも伊月さんの方をチラチラ気にしているし。 「いいですよ。終わりました。試しの度数です。掛けてみてください。」 はっとしたように女性が俺の方を向く。 「わ、…よく見えます。」 「以前の眼鏡は度数が少しゆるかったので調整しています。しんどい感じはないですか?」 「はい、大丈夫です。」 試し装用が問題ないことを伊月さんに伝えて一緒にレンズデータを確認する。 「このフレームだとレンズもう少し薄めに加工した方がいいですかね?」 「あーそうかもしれないですね。以前より度数上げているので厚みは少し出ると思いますので。」 距離が近すぎて目が余計に合わせられない。 しかもなんか香水?いい匂いするし。 さっきの織田さんという女性は少し離れたところでお友達と話しをしているようだ。 「---で、こうーーーでどうでしょうか?」 まーこの外見だったらモデルとかって言われても納得しちゃうもんなー。 「あの」 しまった、、、 「あ、あぁそうですね。あとはお客さんと相談してもらったら…。」 しどろもどろになりながら答えると、 「ははッ、わかりました。」 あー…なんか鼻で笑われた?そりゃそうだよ。今仕事中なのに…。 よし、と気持ちを切り替えて仕事に戻った。 「ありがとうございましたー。」 あまちゃんの事務作業も手伝いつつ、終わったのは20時。 「あれ、すごいね。」 「何あれって。」 あまちゃんが目をキラキラさせながら 「いやだってさー見た?あのレベルのイケメン立ってるだけで女がホイホイ寄ってくるわよー?」 「ホイホイって…。ゴキブリホ○ホ○みたいにいわないでよ。」 俺がそういった瞬間、後ろからブフォッと誰かが吹き出した。 「あら、伊月くんに聞かれちゃった。」 伊月さんは手で顔を覆ってる。 なんか肩も震えているような…。 「え?あの…大丈夫ですか?」 「やー、も…限界です。…くく…久遠さんて面白い。」
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