10人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
夏子さんの荷物だったけれど、僕もさすがに夏子さんのマンションの住所までは知らない。
仕方がないから宅配伝票にはマスターの自宅住所……すなわち僕の自宅の住所を書いておいた。
インフォメーションカウンターで手続きを済ませて、自前の鞄1つの身軽な格好に戻る。
そして僕はその次の課題『投資の実践』に移るべく、脳内の知識を再発掘した。
と言っても、夏子さんがどうして『これが投資よ』と言って男物の服ばかり買い漁ったのか、その真意はさっぱり分からない。
だから僕が念頭に置いたのは、元から知識として知っていた『投資』だった。
投資というのは、将来的な資本を増やすために、現在の資本を何かに投じる行動のことだ。
僕の現在の資本は鞄の中身と僕自身。
この資本をどうやって増やせと言うのだろう。
大道芸で瓦割でもすれば小銭くらいは稼げるかもしれないけれど、それは何か違うような気がするし……
最初のコメントを投稿しよう!