華知らぬ暁、子犬と檸檬

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「そのメガネもさぁ、顔隠すためのダテだよね?」 「隠せてないよぉ?  だって俺ら、すーぐに美人さんだって分かっちゃったしぃ?」  エスカレーターまで回っていたら間に合わない。 「……っ!!」  足は無意識の内に走り出していた。  夏子さんが背にしている柱に狙いをつけて、手の中にあった物を男達の下卑た顔面に向かって投げつける。  手の中にあったレモンソルベのカップは、溶けた汁を他にまき散らす暇もなく男達の顔面へ突き刺さった。  ベシャリと男達の顔面に命中したレモンソルベが、地上から離れたフロアで甘い香りを漂わせる。 「ブベッ!!」 「ギャァアアアアアッ!! 目ェ痛ぇっ!! というか、俺のシャツがぁッ!!」
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