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男達が騒いでいる間に真下に到達した僕は、勢いを殺すことなく夏子さんが背にしている柱を蹴りつけて宙へ舞う。
その勢いのまま傍の屋台の骨組みを蹴りつければ、指先が2階の空中回廊を囲う手摺りの下の隙間に届く。
反動と背筋を使って宙を縦に回転。
爪先を手摺りの上に引っかけて、軽やかに2階の手すりの上へ飛び移る。
パルクールと呼ばれる移動術の応用みたいなものだ。
「夏子さんっ!!」
突然現れた僕に、夏子さんは大きく瞳を見開いた。
その表情が一瞬、泣きだしそうに歪む。
『…っ、どうして、そんなこと、言うのよぉ……っ!!』
あの時と、同じ表情だった。
……そっか、この格好は、夏子さんなりの精一杯の防御だったんだ。
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