華知らぬ暁、子犬と檸檬

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「夏子さん、下がってて」  同時に、いつか、夏子さんにそんな我慢をさせずに、外を歩いてもらえるようにしたいと、強く思った。  だって僕と一緒にいることで我慢をさせているっていうことは、僕がまだ未熟で、夏子さんにそれを補ってもらっているということだから。  だから、そんな思いをさせない『大人』になりたいって、強く強く思うんだ。 「テメェ……っ!! 何しでかしてくれたんだよアァッ!?」 「どう落し前付けてくれんだよガキンチョがぁあああっ!!」  トッと2階のフロアに降り立ち、男達と夏子さんの間に体を滑り込ませる。  レモンソルベの強襲から立ち直った男達は、鬼のような形相で僕のことを見下ろしていた。  ……こいつらは、容赦のいらない敵だ。  キャスケットの下から男達を静かに見据える。  自分の瞳が感情なくし、温度を下げたことが自分で分かった。
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