華知らぬ暁、子犬と檸檬

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 体が、悲鳴をあげている。 「っ……!!」  自分が悲鳴を飲み込む音で目が覚めた。  ここ数日、ずっとそうだ。  全身の関節が引きつれるような痛みで目が覚める。  もしかして、何か悪い病気なんじゃないだろうか。  マスターに御迷惑をおかけする前に、一度病院へ行った方がいいのかもしれない。  最近喉の調子も悪いし、もしかしたら風邪の初期症状なのかもしれない。 「瀬戸(せと)、今日も早いな」  喉をさすりながらベッドから起き上がり、軽くストレッチをしていたら同室の神永(かみなが)さんに声をかけられた。  『早いな』と言うくせに、当の神永さんはすでにきっちりとスーツを纏っている。 「おはようございます、神永さん」  僕の雇い主であり元養育者であるマスターは、大きなお屋敷に使用人数人と暮らしている。  住み込みの使用人は、こうやって相部屋で部屋を与えられることが多い。  僕もマスターに拾われた時から神永さんと相部屋暮らしだ。  一人前のボディーガードとして本格的に働き始めるよりも、神永さんとの相部屋歴の方が長い。
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