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「今日は、ありがとね。
瀬戸が一緒で、楽しかったよ」
来年にはって来年の僕ともこうやって会ってくれるつもりなのかとか、今日の講義は意味があったっていうのはどうことなのかとか、グルグルまた考えている間に夏子さんは腕を解いていた。
その代わり、僕の胸にピッと小さな紙袋が突き付けられる。
「これ、私の問題に正解した御褒美」
今日一日で染み付いてしまった条件反射で紙袋を受け取ってしまうと、夏子さんは薄く色の入ったサングラスの向こうからウインクを送ってきた。
「私の投資が実になること、楽しみにしてるから」
「それって、どういう……」
「ね。今日のシメに、教えてくれない?」
ギャギャギャッと、どこからかタイヤが激しくアスファルトを噛む音が聞こえてきた。
周囲にいたお客さん達が何かを見つけて悲鳴をあげている。
「瀬戸って名字、ボスと一緒じゃない?
下の名前、教えてくれないかな?」
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