華知らぬ暁、子犬と檸檬

28/35

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
 神永さんに渡されるがまま次々と袋を開けては中身を出していく。  TシャツにYシャツ、ラフなズボンにお洒落着、いつの間に買っていたのか帽子や靴、鞄などの小物まであった。  だけどそのどれもが、今の僕の体には大きいサイズだった。  ズレ幅は1サイズ上から3サイズくらい上まで。  サイズ別に組み合わせると、何パターンかコーディネートできるような買い方がされている。 「へー、話には聞いてたけど、暁さんってセンスあるよな。  それに、お前のこと、よく分かってる」  困惑したまま神永さんを見ようとしたら、ガシッと頭を掴まれた。  その手は容赦なくワシャワシャと僕の頭をかきむしる。 「わっ!?」 「お前、最近伸び盛りだもんなぁ!  暁さんはお前がすぐにここまで大きくなるって踏んで、これだけの物を買ったんだよ。  まさにお前への投資だな!」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加