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予約伝票には、その店の名前が刻まれていた。
発注者の名前は暁夏子。
納品先は瀬戸(息子)様になっている。
採寸予定日は一年後。
大まかなデザインがすでに指示されていることが、伝票に書き込まれたメモで分かる。
「豪儀だなぁ……
マスターと同じ店のスーツなんて、俺らが普段着てるヤツの何倍の値段すんだよ……
出来上がり次第クレジット一括払いってなってんぞこれ……」
僕は思わず伝票を握り締めて部屋から飛び出していた。
目下仕事用にしか使われていないスマホはポケットに入れっぱなしになっている。
伝票の連絡先には、携帯番号が書かれていた。
その下に、お店側が預かり証として写しを剥がしてからわざわざ書き加えたと分かるインクで、もう1つ携帯番号とメールアドレスが書き込まれていたことに僕は気付いていた。
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