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「ど……どうしてここに、夏子さんがいるんですか……?」
頭に乗せたキャスケット帽を両手で引き下ろしながらボソボソと問いを口にする。
きっと今、僕の顔は熱を持って真っ赤になっているに違いない。
外見が成長を止めているのをいいことに、ここ数年新しい私服なんて買っていない。
今日の僕が着ているのは、最近になって縮んでしまったパーカーにズボン。
足元はガタがきたスニーカーで中は襟が伸びかけたTシャツ。
斜めに掛けられた鞄が子供っぽい印象にトドメを刺している。
とてもじゃないけれど、ラフなパンツスタイルでもお洒落にコーディネートしている夏子さんの前に立てる格好じゃない。
そうでなくても最近、夏子さんの視線にさらされると、顔に熱が集まって落ち着かないのに。
仕事中ならば仕事だからと割り切って接することができるけど、プライベートで夏子さんに会ったのなんて初めてだ。
おまけにこんな不意打ちなんて。
こんなんじゃ、まともに夏子さんを見ることさえできない。
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