華知らぬ暁、子犬と檸檬

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「な、夏子さん! お支払いは……っ!!」  僕は慌ててその後ろを追ったけれど、あと一歩の所で間に合わなかった。  店員さんに渡されたクレジットカードがサッと夏子さんの財布に戻っていく。 「ボスは投資の勉強をして来いって言ったんでしょ?」  店員さんが綺麗に袋詰めしてくれたお買い上げ品を夏子さんは僕にビシッと突き付けた。  反射的に僕がその袋を受け取っている間に夏子さんは次の店へスタスタと行ってしまう。 「これが投資よ」 「え……えっ!?」  その後も夏子さんは男物のお店に入ってはお買い上げ品を増やしていった。  僕に巧妙に荷物を押し付けてお支払い現場から追いやる辺り、夏子さんはやっぱり策士だと思う。
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