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「店は駅前の焼き鳥屋、先に入ってるって」 一緒に外へ出るとスマホをいじりながら、駅前の方向へ歩く山崎。 「あの…車は会社に置いていかれるんですか?」 「飲むなら車乗れないだろ、明日朝は、電車にすれば問題ない」 そう言って、当たり前のように横に並んで歩いている。 食事だけでなく、飲むってことは、酔った山崎がどうなるのか聞かなくても見れるようだ。 数カ月前の新人歓迎会では、確か山崎は隅の方で飲んでいたけれど、私達新人は、部長を取り囲むように座席に座らされていて、山崎の席の方まで、お酌すら行けずにその時は一言も話さなかった。 山崎の部下になってから、ずっと嫌われていると思っていたし、食事に誘われることもなかった。 それなのに、自分の気持ちに意識したタイミングで、北島さんからの誘いだなんて、別に誘わなくても済んだのに、わざわざ伝えてくるなんて、山崎の態度がわからない、断ってもよかったのだろうか…、 「行くのか?」って聞かれて、思わず「はい」と返事したことに後悔してきた。 歩くスピードが早くて、必死に着いていくと、店に着いたので、ドアを開けた山崎に続いて中に入ると、すでに生ビール片手に、始めている北島さんがいた。
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