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 パパのどこが最低なのか舞ちゃんには全くわからなかった。「それでも舞はパパに会いたい?」ママは鼻の穴をふくらまして勝ち誇ったような表情で舞ちゃんに詰め寄った。しかし舞ちゃんは屈託なく「うんっ!パパに会いたい」と答えた。するとさっきまで笑顔だったママの顔は凍りつき、舞ちゃんが見たことない顔になった。舞ちゃんのママはポケットからタバコを取り出して口にくわえた。舞ちゃんにもママが急に不機嫌になったことがわかったので「ねえ、ママ~、たまにはパパに会いたいよ~」とクスクス笑いながら舞ちゃんはママにくっついて甘えた。ママは舞ちゃんに返事をせずタバコを吹かし続けていた。「ねえ~、ママ~。パパに会いたい」ママはタバコを指で弾いてつっかけで踏んだ。何度も何度も踏みつけてタバコの中身が庭の土と混じり合っていった。「うるさいっ!舞!じゃあ出てけ!出てけ!」「ママ?ママ?」「ママって呼ぶな。もうあんたのママでもなんでもないから」「もう、あんたのママなんてやめてやる」  その日の夕飯は舞ちゃんの大好きなオムライスとハンバーグだった。「ごめんね、舞。あんなこと言って本当にごめんね」と泣きながら何度も何度も謝るので、舞ちゃんはそれから必死でパパのことを忘れるように努力したし、決して「パパ」と声に出して言わなかった。にもかかわらずママは二日にいっぺんは舞ちゃんに「パパに会いたい?」と聞くのだった。
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