もうひとつの顔

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神谷さんとの出会いは、そういった場で何の知識もない俺が、変な男に騙されそうになり、助けてくれたところから始まる。 その男とは会ってすぐに意気投合し、俺の話も親身に聞いてくれたのだ。 普段、饒舌でない俺は、酒とその場の雰囲気の所為か、すっかり気を許してしまった。 いつの間にかアルコールに何らかの薬を入れられたのか、睡魔が襲ってきた。 そんな俺に男は肩に手を回し… 「あれ?眠っちゃったかな?ちょっと…出ようか?」 耳元で囁かれる言葉に、頭の中で警戒音が鳴った。 「いや…嫌だっ…!」 抵抗するが身体が思う様に動かなかった。 男がふらつく俺を連れて店を出ようとした時だった。 「ちょっと、あんた!それ合意の上なんでしょうね!?あたし、さっき見たけど、その子のお酒に変な薬入れたでしょう!?ここ、薬物禁止よ!!」 女言葉だが、明らかに男の声だった。 その人物こそが神谷さんだった。 「な、何を言ってるんだ!俺はこの子が一緒にいたいと言うから…」 シラを切ろうとする男に神谷さんは、グイッと胸ぐらを掴み… 「てめぇ…嘘ついてんじゃねぇーぞ、チ×コ引き抜くぞ、コラ。」 ドスの効いた地の這うような声だった。 それを聞いた男は一目散に店を出た。 俺はそんな様子をボーッと見ていたら 「バカッ!!あんた無防備すぎるわよ!!こんなに綺麗なんだから気をつけなさい!!!」 怒られてしまった。 「す、すみません…。」 薬は少量だったのか、頭が少しスッキリしてきた。 「あ~もう!冷や冷やしたわよ!あんたがこの店に入ってきた時から、周りの男たちがギラギラし出して、あんたここ初めてでしょ?…色々教えてあげるわよ。」 「…えっ!?」 さっきの事から正直警戒してしまった。 「やーだ!取って食わないわよ~!あたし…一応ネコだから。」 「―!!??」 それが神谷さんとの衝撃的な出会いだった。
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