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そして、戸田さんへの挨拶もそこそこにいつもの様に切る髪型を伝えようとする。でも、その一瞬、透の言葉が私を躊躇させた。
《美帆!だいぶ髪伸びたな!やっぱお前は髪、長い方が似合ってるぜ》
「やぁ美帆ちゃん!次はどんな髪型にするのかな?」
私は戸田さんの言葉に答える事も出来ずに躊躇う。
「美帆ちゃん?」
そんなに間が空いてしまった感覚は無いけど、戸田さんが私の名前を呼ぶ。
「え?あっ!!はい……えっと、なんでしたっけ……」
「美帆ちゃん、大丈夫?」
今度は正真正銘、心配そうな表情で見られる。おおよそ状況を把握し直っして私は赤面する。
(かっっこわるぅ……)
「きょ……今日は、これでお願いします!!」
気恥ずかしさを隠す様に勢い良く、私はカバンから切り取った女性誌の一面を戸田さんに見せた。
「へぇ、なかなか短めのボブカットだね」
戸田さんの目が職人の目になる。
「あ、あの、似合いませんか?」
おずおずと聞く私にパッと顔を上げた戸田さんが微笑む。
「いやいや、美帆ちゃんは本当にいいセンスしてるなぁと思ってね。ほら、この写真のモデルさん右の目元に泣きぼくろがあるだろ?美帆ちゃんは左だけどね。ちょっと短めのボブカットだけど、泣きぼくろが上手く顔の印象を整えてるんだろうね。この写真も、美帆ちゃんもすごく似合うよ」
「本当ですか!お願いします!!」
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