第一話 入学式は波乱の幕開け

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 身長は155センチ程度の痩せすぎず太りすぎない丁度良い体格だが、胸が同年代の一般女子の大きさより1ランクか2ランクほど大きいのが少し目立つ。顔は一般的な顔立ちより少し上の笑顔がとても可愛らしい美人系。肩の少し先まで届くほどの長い黒髪は、学校の規則で、既定の長さを超えた長髪の場合は髪を結ばなければならない為、大人可愛いロングポニーテルにした。胸元に赤色のリボンが付いた紺のブレザーと、赤いチェックの入ったスカートがとても良く似合う。  「うん、バッチリ!」  身支度を整えると、明香里は自分の部屋を後にして、台所へと向かった。台所に着くと、椅子の背もたれに掛けておいたピンク色のエプロンを羽織った明香里は朝食の支度を始めた。  しばらくして朝食の支度を終えると、ふと隣の居間に目をやった。そこには、テーブルの上にフタが開いたビール缶が数本と少々残ったおつまみのお菓子が乱雑に置かれていた。そして、そのテーブルで下半身を隠すように、40代半ばの中年男性が豪快にイビキをかきながら眠っていた。テーブルから少し離れた場所に置かれたテレビは点けっぱなしで、全国放送の朝のニュース番組が映し出され、若い女性が屋外に出て今日の天気を伝えていた。それを見た明香里は、ハァ~とため息をついて、寝ている男性に駆け寄った。  「ちょっとお父さん、起きて。朝だよ。」  体を何度か揺すっても、父である塚原幸彦(つかはらゆきひこ)は中々起きようとしなかった。  「いつまで寝ているのよ、お父さん! 朝だってば!! 早く起きて!!」  やはり、幸彦は起きなかった。それどころか、あまりに寝心地が良いのか、口元からヨダレを流し、畳が一部濡れていた。それを見た明香里は、体のどこかでピキッと何かが鳴ったかと思うと「仕方ないか」と言って、テーブルをずらし、幸彦の全身が見えるようにした。そして、息をゆっくり吸って整えると、明香里は勢いよく幸彦の後尻を足で強く蹴った。蹴った瞬間、ドカッと鈍い音がした。
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