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立体駐車場のスロープに猛スピードで突っこむ。
「駐車券を......」と言う機械をスルーしてずらりと並ぶ車の間をスライドしながらすり抜ける。
「駐車はしないから駐車券必要なし!」
「ぶちしばれる事になったわ、わや!」
かず美カスタムは、屋上を目指して車の間を角ばったS字カーブを描きながら進んでいく。フロントにいる私は降り下ろされそうになるので必死にしがみつく。
「落ちるうううっ!」
隆志は車のサイドミラーを掴まえて鯉のぼりのような体勢で叫ぶが......
「あっ!」
バキッと音がして、サイドミラーがめげた。
「あんた、さっきからなんしちょると! はよ掴まって!」
私は隆志に思いきり手を伸ばす。けど、なかなかたわん!
「あんた手がたわんよっ! 手をしゃんと伸ばして」
「頑張ってるんだけど、届かないよかず子」
「これでたうでしょうが」更に手を伸ばす。
「もうちょい」隆志はドアを引っつかんでいた手を力強く伸ばして、私の手を捕まえた。
「今日はいいものを見たわかずさん、もうすぐ着くから用意して、それでは皆様お待たせ致しました。新郎新婦の入場です、拍手でお迎え下さい、そして花嫁をブーケトスします」
かず美さんの司会進行と同時に、カスタムカーは屋上へ抜けた。
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