11人が本棚に入れています
本棚に追加
【6】
「かず美さん、駐車場の付近を走って」
私はかず美カスタムのフロントに腰を掛けてかず美さんに提案した。時速190キロでゴルゴの狙撃を交わしながら走る感覚が何とも言えない。
「車停めてどうすんの?」
「停めずに走るのよ。建物の屋上にあるような駐車場からゴルゴのいる場所にジャンプ!」
「スピードがスピードだし、飛び越えるかもしれないよかずさん」
確かにね。飛び越えてしまったらアウトだ。
「だったら、私だけ降りる」
かず美カスタムが目標の上まで来たら、ここからジャンプしてゴルゴを取り押さえれば終わりだ。この勢いでジェームズ・ボンドをスパイ容疑で逮捕したい。
「それは良いけどさ、ゴルゴの狙撃を交わすのに精一杯なんだけど」
「ならぼ、ぼぼぼ......」
隆志は扇風機の前で喋っているような感じで何かを言おうとしている。ならぼくが、かず子を護る? そうよね。俺の名は海街隆志、かず子のボディガードだって言ってたもんね。隆志のオトコが一上がった。
「僕がナビゲートするんだな」
一下がった。さっきの勢いはどこへ行ったの?
まあいっか。隆志なりに私を護ろうとしてくれているんだから。
最初のコメントを投稿しよう!