4・招かざる客たちはビュッフェを食べませんでした

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 抜けたはいいけど、流石はスカイツリー。  立体駐車場の屋上より遥かに高いじゃない、かず美カスタムのジャンプでも届きそうにないけど。  「かずさん、作戦変更っ! 途中で降ろすからスカイツリーよじ登って最上階へ行ってくれる?」  かず美さんは止まらない。  「うちにせんない事をやれと?」  「思い出して。遊園地の観覧車、丸い着ぐるみ着てスナイパーライフル担いで一番上まで登ったでしょ。かずさんと二人きりの夜。私は忘れない」  ああ、去年に遊園地に怪盗ババネコが出た時にやったな。確かドラマで『怪盗探偵山猫』やってた時だったから忘れもしない。あれはほんと汗びっしゃになってえらいしばれる仕事だった。  「うちも忘れない、てか、忘れられないけど。かず美さんはどうするの?」  「思い出して、私たちは大量のドローンの追跡撒いたでしょ?」  あれはもう、地獄だった。  世の中マトモな犯罪者はいないのかと思った。特に沖島でゾンビナイトに出くわした時は。次回は何が出るか楽しみ......いや不安だ。  「私はスカリツリーの外壁を螺旋状に下りて、螺旋状に上がる。ドリルヘッドよ!」  ドリルヘッドって、紙芝居の一人コントみたいだけど。  「出来るのかず美さん?」  と、訊ねた所でかず美さんはカスタムカーを屋上から飛ばした。
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