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淳は押し黙った。
皆川は淳の沈黙に何も言わず、軽いくちづけを落とす。
複雑な気分だった。
望んでいた言葉のようで、それを口にされると疑いたくなる。素直に喜べない自分。
どうせ離れていくくせに、と思ってしまう。
(そんなの嫌なのに)
本当にそうなった時の自分へのおまじない。どうせ離れていくと思い込んでいれば、現実になった時の痛みを減らせると信じている。
淳は胸が苦しくなって、皆川の背に手を回ししがみついた。
「淳さん?」
「修介・・・さん」
皆川の反応を見る前に目を瞑る。
「嬉しいです」
耳元で囁かれ、淳は皆川の肩で顔を隠した。
「淳さん、ちょっと離れて」
「えっ?」
淳からしがみつくのはダメだったのだろうか?、と不安になり、顔をあげると柔らかく微笑んだ皆川と目が合う。
「キスしたい」
やっぱり淳の答えを待つ事なく皆川の顔が近づいて、唇を柔らかく噛まれたと思ったら、熱い舌が口内へ侵入してくる。
緩く舌を合わせてなぞらえると、また唇を甘く噛まれる。
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