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皆川の悩んでいる姿が想像出来なかった。
でも、言われなければ皆川が不安に思うこともあるということに気付かなかったかもしれない。
しかも他ならぬ淳のことで。
「あの・・・俺、両思いって思っていいんですよね?」
「それ結構傷つきますね」
目を閉じて皆川は噛み締めるように言う。
慌てて淳は「ごめん」と謝る。
「謝られると余計落ち込みます」
「えっと・・」
それ以上何を言ったらいいかわからなくなって、淳は開きかけた口を閉じる。
皆川は苦笑して、淳の唇に軽いキスをした。
「本当にごめん」
淳から言えるのはやっぱり謝罪の言葉で。けれど、これ以上皆川を傷つけないように、早口で続けた。
「違う。皆川さんを疑っているわけじゃなくて・・・」
「何ですか?」
「まだ、信じられないというか。俺、本当に好きになった人と両思いになったの初めてで。どうしたらいいかが分からないというか。怖いのかも」
「怖い?」
「これ以上幸せになったら、罰が当たるんじゃないかって」
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