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俺の事を笑い飛ばしていたはずの亮が、急に大人しくなって去っていった。
「あっおい亮!待てよ、待てったら……」
突然行ってしまった亮の後を追って、要も姿を消した。
「フィリップ先輩。優太にデザインさせてくれてありがとうございました。優太とっても喜んでました」
「そうか、それは良かった」
「先輩、もう短冊の事を聞くのは諦めました。だから一つだけ私の願いを叶えてくれませんか?」
ジョーが潤んだ目で俺の事を見つめている。
花火はまだ上がり続けているけれど、俺もジョーも花火なんてそっちのけで見つめ合っていた。
「なんだ?お前の望みならなんでも叶えてやるよ」
「もう一度…………」
そう言ってゆっくりと目を閉じたジョー。
最後まで言わなくても分かってるさ。
俺も目を閉じながら、待ちわびているであろうジョーの唇を優しく奪ってやった。
END
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